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    花の王

    こんばんは。明日からもう五月ですね。
    本当に、毎回のように言っておりますが、時の経つ早さに目がくらみそうです。
    とはいえ、夜の訪れがずいぶんのんびりとなってきので、そうか、もうすぐ夏なのだなぁとしみじみ感じていたりします。
    日が暮れるのが遅いとなんだか得をした気がするのは、何故でしょうね。
    やはりお日様が恋しい人の本能なのでしょうか。

    この時期、花々が本当に美しいです。
    駐車場から職場へ向かう途中、見事なお庭のあるお家があるのですが、たくさんの種類の花が植えてあり、通るたび目を楽しませて頂いております。春先には香しくかわいらしい沈丁花、ちょっと前には圧巻の白木蓮、そして今は見事な牡丹…といった具合です。
    大輪の牡丹は、白に中央が紅で、華やかで艶やかで、まさに花の中の花。
    調べてみると牡丹にはたくさんの異名があるそうです。
    『天香国色』 『富貴花』 『花神』 『花王』…なるほど、あの神々しいまで美しさに相応しいものばかりですね。
    これほどまでの美貌の花ですが、意外にも万葉集には謳われていないとか。
    万葉集より早くに編纂されたとされる『出雲風土記』には『牡丹(ふかみぐさ)』と名が挙がっているようなので、その頃には既に渡来していたようなのですが…。なんだか不思議です。
    そういえば、日本語では、花によって散る際の表現が違います。
    梅はこぼれる、椿は落ちる、朝顔はしぼむ、菊は舞う――牡丹が散る時には『崩れる』と言うそうです。
    艶やかに咲いた大輪の花が散る――まるで一国の盛衰そのもの。
    まさに王の崩御と言ったところでしょうか。
    日本語の美しさには、いつも感動させられます。

    これからほんの一時、花の王が崩れゆくそのさままで、花の歴史家を気取って、目に焼き付けていきたいと思います。

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